製造現場において、金型の交換・運搬作業は負担が大きく、危険な業務の一つです。今回は、現場の安全と効率を改善する特注金型交換台車の基礎知識について解説します。
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金型交換台車とは、射出成形機・プレス機などで使用される重量金型の搬送および交換作業を安全かつ効率的に行うための専用台車です。扱う金型は数百キロから数トンに及ぶため、一般的な手押し台車とは異なり、高い耐荷重性能と変位を最小限に抑える位置決め精度が要求されます。また、機械側のセンター位置やガイドピンとの整合を確実に取る必要があるため、荷台構造・高さ調整機構・案内機構など、金型交換作業に特化した設計が施されている点が特徴です。
金型交換台車は、重量物搬送と精密位置決めを両立するために、一般的な台車とは異なる専用機構を備える必要があります。主な要件は以下の通りです。
1t〜2t級の金型を載せても歪みやねじれが生じない高剛性フレーム構造が不可欠です。材料には、強度・剛性・加工性のバランスに優れたSS400・SUS系や、軽量化が求められる場合には高強度アルミ材が採用されます。
金型を少ない力で台車上で移動させるため、
・ローラー(フリーローラー/ボールローラー)
・レールガイド
・低摩擦プレート
などの移載補助機構を荷台上部に設置します。さらに搬送時には、金型が不意に動かないよう、クランプ機構やストッパーによって確実に固定することが必要です。
搬送時の操作性を確保するため、キャスターには
・耐荷重仕様
・旋回抵抗の低いベアリング構造
・必要に応じた単輪・複輪構造
などを選定します。作業位置では、アジャスターやジャッキ機構によって台車を床面に完全固定し、射出成形機やプレス機の金型取付面と高さ・水平度を正確に一致させることが必須です。これにより、安全かつ確実な金型交換が実現できます。

うんぱんマンは、アジャスターとキャスターがワンフットで切り替わる製品です。一人で装置の運搬、固定、レベル調整を簡単に行うことができ、台車と組み合わせることで頻繁な移動が必要な金型や装置・検査機器を安心安全に移動させることが可能です。
重量物の運搬において、最も危険なのは台車が意図しない動きをすることです。1トンを超える金型を載せた台車は、一般的なキャスターのストッパーだけでは、傾斜や床の状態によって滑りだしてしまう危険があります。
しかし、こちらのうんぱんマンを使用することで、強力なロックや、ワンフットで固定と搬送を切り替える機構をつけることができます。
またうんぱんマンは、移動・固定を繰り返してもレベルを正確に再現できます。毎回アジャスターを微調整する必要がないため、段取り時間を大幅に削減できます。
>>うんぱんマンの詳細を確認する

お客様からレールの上で金型を走らせた後、金型を40mm上昇させたいという要望を受けて、特注台車を設計・製作いたしました。そこで当社は、手回し式の1t用うんぱんマン付き特注台車を提案しました。これにより油圧式や電動式よりも、スペースを取らない特注金型交換台車をご提供することができました。

アルミフレームの強度計算に基づき、1.5tの耐荷重を実現した台車です。重量のある金型も安全かつスムーズに搬送・交換可能です。また、お客様の金型交換を行う設備や作業環境に合わせて高さを緻密に設計・製造することで、作業効率の向上と安全性の確保に貢献しました。
今回は金型交換台車についてご紹介いたしました。
特注台車 設計・製作.comを運営するダイワアドテックでは、搬送物の重さや、お客様の作業場所の広さ、レイアウトに合わせて、最適なサイズの台車を設計・製作しております。
既製品に関するご要望や課題がございましたら、累計1,000台以上の特注台車の開発実勢を持つ当社に、ぜひお気軽にご相談ください。
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